財務会計と管理会計について
■財務会計で会社の経営状態を把握しよう
財務会計は、企業が決算報告を行うために、経営状態を外部へ発表する会計です。財務会計を行う際に用いる決算書は、財務諸表と呼ばれる統一基準を元に作成され、どの企業も同じ形態で作成します。
財務諸表には、経営状態の内部を記す資料が二つあります。それは、収益と費用の差額を記載した損益計算書と、企業が抱える資産や負債などを記載した貸借対照表です。どちらも、嘘偽りのない記載が必要とされ、事実に基づいた内容で統一しなければなりません。
また、財務会計が持つ機能に、利害調整機能と情報提供機能があるので、項目別にご紹介します。
・利害調整機能
株主と経営者が持つ利害を調整する機能です。財務会計で明確になった経営状態を真摯に伝えることで、両者が求める利益の対立を予防する役割を果たします。
・情報提供機能
投資家や株主といった利害関係者に経営情報を詳細に伝える機能です。決算後、企業に対して、さらなる投資判断を行う際に活用されます。
■会社の経営判断を促す管理会計の効果
管理会計は、収益の発生点を記す会計です。社内の業務内容について、作業プロセスをデータとして導き出し、原価分析や利益性分析などの集計及び、加工作業を伴って作成します。
管理会計にデータ化された情報は、決算の場で企業の経営判断を左右する大事な役割を果たします。現状の把握や問題点の抽出を、外部からでも判断できるようになり、企業が持つ業務能力を識別する効果を備えています。
管理会計はレポートとして作成されますが、形式のルールには制限が設けられていません。企業ごとに独自の分析やレポートを選定、それを軸として資料を作成します。
事業計画書の作成や、中期経営計画書の作成など、決算後に求められる資料についても、管理会計の情報に基づいて策定されます。そのほか、取締役会の資料作成以外にも、予実管理と分析の活用にも役立ちます。
■企業会計原則とは一般的にどんなものか
企業会計原則は、企業ごとに作成基準が異なる会計システムを8つの原則にまとめ、ある一定の基準を設けることで、比較できるよう定められた指標です。それぞれを項目別に確認してみましょう。
1.真実性の原則
財務諸表について、嘘偽りのない内容で書かれていることを前提に策定された原則です。資料を見た利害関係者が、投資などの判断を正常に行えるよう、間違った記載は許されません。
2.正規の簿記の原則
会計帳簿を作成する際、正確な帳簿の記載を盛り込んだ原則です。会計帳簿以外に、財務諸表においても同様の内容が求められています。
3.資本取引・損益取引区分の原則
期首及び期末自己資本を比較対象に考え、各期間での自己資本における増加分(利益分)を把握する原則です。
4.明瞭性の原則
貸借対照表及び損益計算表は、利害関係者にとって情報を得るためのツールです。この内容を分かりやすく記すために設けられました。
5.継続性の原則
一度作り上げた会計処理の原則について、毎期継続して使用することを盛り込んだ内容です。
6.保守主義の原則
何らかのトラブルに備え、より慎重な判断能力を会計処理に求める原則です。
7.単一性の原則
企業における会計帳簿は、財務諸表ただ一つだけを認める原則です。
8.重要性の原則
重要性ない取引について、簡便会計を活用できる原則です。
経営者にはこれら原則を参考に、規定を順守した企業会計が求められます。取引先はもちろん、投資家や株主にも影響する内容なので、必ず知識として備えておくと良いしょう。