起業家が知っておきたい会計士の選び方
■会計事務所の得意分野を基準に選ぶ
会計事務所と一口に言っても、行うことのできる業務の範囲や幅、得意分野が大きく異なります。各事務所にはそれぞれ個性があると言って良いでしょう。
会社設立や法人の起ち上げに力を入れている事務所もあれば、長期的な経営コンサルティングを得意としている事務所もあります。また監査業務のみを行う事務所もあれば、税務業務も依頼できる事務所もあるでしょう。設立したい会社に合った業務を得意とする会計士を探すことが求められます。
また、監査業務ひとつとっても、巡回監査を中心とした事務所や月次決算報告を得意とする事務所に分けられます。つまり、毎月の会計監査を短時間で終了するか、一回ごとに時間をかけて設立者に経営面のアドバイスを行うかの違いがあると言えるでしょう。起業家の考えに合った方針の事務所を選ばなくてはなりません。
しかし、まだ会社を設立していない、あるいは起業後間もないといった場合では、適応する会計士がどんな人かわからないケースもあるでしょう。迷った際は、直接会計事務所に相談してみると良いアドバイスがもらえるはずです。
■会計事務所の規模や大きさを基準に選ぶ
会計事務所は、一人あるいは数人の会計士で行っている小規模の事務所もあれば、数十人の会計士が在籍している大規模の事務所もあります。規模によっても特徴が異なってくるので、起業家が求める方向性により近い事務所を選ぶのもひとつの手です。
・小規模事務所の特徴
小規模の事務所では代表者が全ての案件を担当することが多いため、経験豊かな代表者や専門家に直接関わってもらえる点がメリットです。細部まで相談したり、親身なアドバイスをもらったりできるでしょう。ただし、不得意な分野には対応できないこともあります。そのため相談したい焦点以外の全般的なサポートは苦手という事務所が多いです。
・大規模事務所の特徴
大企業の担当をしてきた経歴を持つ事務所が多く、スタッフにも経営に関する様々なノウハウや経験が蓄積されています。起業家にとって貴重なアドバイスが多くもらえる点がメリットでしょう。ただし、担当者によってスキルにばらつきが出る可能性があるところが難点。担当が細分化されているため、起業家の求める方向性と違う担当がつく場合があります。
■サービスの質や担当者の人間性を見極める
会計業務や税務申告など適切なサービスを行うのが会計士の仕事ですが、それ以上に大切なのは顧客満足を追求していく姿勢です。良い会計士とは、付加価値のあるサービスを提供してくれる会計士だと言えるでしょう。顧客目線で指導・助言してくれるか、幅広く対応してくれるか、そのために必要なノウハウが蓄積されているかをしっかりと見極める必要があります。
また料金に対する適切な説明があるかどうかや、顧客に対する態度も誠実な会計士を見極めるポイントです。更に法律の改正にもしっかりと対応し、適宜適切な説明をしてくれるかどうかも大切です。
特に起業家にとって会計士は、これから大きな事業を成功させるために長く力を借りていきたい存在です。ただ淡々と業務をこなしていくだけでなく、親身になったアドバイスを与えてくれる人物を選びましょう。