定款作成時の注意点
■定款を作成する際は事業目的に注意
定款の作成は、会社を設立する際に最も大切な手続きの一つであり、その会社が、事業を進める根本的なガイドラインとなるものです。その内容は、会社法にて定められた形式に従って作成しなければなりません。
株式会社の仕組みを十分に理解した上で、会社法に基づき株式についてのあらゆる項目を記載しなければならないのが定款です。そのため、会社法がどのようなものであるか、また株式会社を運営するには何が必要かをしっかり把握しておくことが大切です。
注意したいのは、事業目的に関する内容です。基本的に、挙げる目的の数に制限はありません。これから行う事業または将来的に着手したい事業などを複数列挙することが可能です。逆に、記載した事業目的によって、その会社がどのようなことをしているのかを判断されるため、そこに記載されない事業を行えないと解釈されるため注意が必要です。
では、とにかく思いつく限りの目的を何でも書いてしまえばよいかというとそうではありません。その内容が多岐にわたってしまうと、会社の事業の本質が見えなくなり、会社としての信用が落ちてしまうかもしれません。事業目的の設定においては違法ではないか、どのような利益を得るのか、目的は明確か、などのポイントをとらえて必要な事項正確に漏れなく記載することが大切です。
■記載するべき・記載が望ましい内容とは
定款に盛り込んでおくべき記載事項は、大きく3つに分けられます。それぞれ、絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項です。これらは、重要度と法的な効力が異なり目的や内容によって書き分けを行うことになります。
まず、絶対的記載事項は、会社の基本情報であり登記するために必須な項目です。この記載事項に漏れがあると定款そのものが無効となり、登記自体も行えず会社設立が不可となってしまうため注意が必要です。
それに対して相対的記載事項とは、記載そのものは義務づけられないものです。記載がなくとも定款の効力に影響はありませんが、絶対的記載事項以外に取り決めておくべき重要な事項をここに書いておきましょう。
任意的記載事項とは、定款の効力にはどのような影響も与えず、その法人によって必要な取り決めを記載する自由度の高いものです。ただし、会社法の規定に準じていることが条件となります。
■株式会社における公告の方法とは
ここで言う公告とは、いわゆる宣伝の意味である広告とは異なり、法人や団体各種が法に基づき、必要な情報を一般に広く開示することを指します。主に、決算公告など財務上の情報や株式の数・募集などが該当し、その方法についても取り決めがあるのが特徴です。
官報への掲載・日刊新聞への掲載・電子公告の3種類が法に定められた広告方法。いずれかの方法で行えば問題はありません。定款に方法を記載しない場合は官報での公告が基本です。
日刊新聞での公告を選択した場合は、通常その発行地についても記載します。特に、地方の会社で地域限定の地方紙でのみ公告を行おうと考えている場合には、発行地についての記載がないと認可されないことも忘れないようにしましょう。
電子公告の場合、その性質上ファイル改ざんやリンク切れなどの問題が生じることがあります。そのような事態がないことを証明するために、電子公告調査機関と呼ばれる第三者機関での調査を受ける必要があります。
これら以外にも、定款の作成にあたっては注意すべき点がいろいろと存在しています。まずは行政書士や司法書士に相談してみるのもよいでしょう。