少ない資本金で設立する際の注意点
■経費を考えた資本金設定とはどんなものか
少ない資本金で設立する際、経費を考えた資本金設定が重要です。資金調達だけに目を向け、思わぬ落とし穴に捕まらぬよう、入る金額だけではなく出て行くお金についても十分に理解しましょう。
資本金は会社の運営資金と直結するため、ある程度の余裕が大切です。しかし、どうしても資金が集められないときには、必要となる分の経費を考えつつ、具体的な資本金額を設定すると良いです。特に人件費や仕入れといった、状況が悪化しても削減出来ない部分については、計画よりも1~2名(1~2回分)多めに計算しておくと、失敗するリスクは大幅に軽減されます。
また、開業当初は、利益を得る策として、新規開拓のための営業など、費用が余計にかさむケースも考えられます。会社全体として力を入れなければならない時期であり、費用がかさむのは仕方ありません。ただ、「資金がないから身動きが出来ない」「手広い戦略が打てない」という不足の事態を招いては本末転倒です。最低でも、3ヶ月分の運営資金をいつでも運用できるような環境を整えておくと良いでしょう。
■抑えておきたい消費税の免除について
資金が少ない状態で起業すると、消費税の免除対象になり、節税対策が行えます。会社にとって税金問題は切っても切り離せませんので、避けられる納税はできるだけ実行しましょう。
例えば、1,000万以上で会社設立を行うと、1年目の決算時から消費税が課せられます。利益が安定していない状況での納税となるため、新規開業者には大きな痛手となるかもしれません。一方、1,000万未満で起業する場合には、開業後2年間の納税が免除されます。2年間で一定の資金を蓄えれば、会社運営に与えるリスクも少ないでしょう。確実な見込みがない場合には、1000万未満での起業をおすすめします。
少ない資本金で開業する場合には、こういった税金面で特例が受けられるケースをしっかり認知することが大切です。もちろん、会社運営が順調に進められたときには、しっかりと納税を行うようにしましょう。
■取引先からの信用も重要なポイント
信用問題は、どんな企業であっても必ず発生します。ただ、開業したての会社であれば、資本金の金額に問わず信用度は一定です。そのなかで、一般的な目で見たとき、あまりにも少ない金額のまま事業を進めていても、現状の運営がうまく回っていない会社と勘違いされてしまうケースがあります。お金を借りる際には、金融機関でも同様の問題が起こってしまうでしょう。資本金が多い会社は、取引先からの信用も得やすいのです。
会社運営が円滑に進んだ場合は、資本金の増資を検討してみると良いかもしれません。成長中の企業だと認知され、各方面からの信用は以前よりも大きく上がるはずです。
また、決算書を作成する際には、社長借入金も記載されるため、実際の資金がどれくらいあるのかが明白になります。自己資本があまりにも少ない場合には、新規での銀行借入する際に審査が通りづらくなる可能性もあるため注意しましょう。何事もバランスよく準備することが、順調な運営を行えるポイントだと言えます。